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20130824

陸上自衛隊

富士総合火力演習


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Fuji

FirePower Review

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2013年8月24日 富士総合火力演習 前段演習

毎年8月下旬に東富士演習場で開催される陸上自衛隊の最大イベント「総合火力演習」。大変人気の高いイベントで一般公開の応募倍率は軽く10倍を超えるため、何年も応募していますが落選してばかりでした。今回は自力当選ではありませんが、ご好意により24日の招待券をいただくことができ、初の「総火演:そうかえん」を見学してきました。

チケット

富士総合火力演習は毎年8月下旬に東富士演習場で開催され、うち1日が一般向けに公開されています。例年倍率は10倍以上という高い壁があり未だに当選したことがありませんでしたが、今年は更にアニメ「ガールズ&パンツァー」の大ヒットや国防意識の高まりもありインターネット応募だけでも昨年の1.5倍に膨れ上がっていたそうです。諦めムードが高まる中、知人の方から招待していただきました。これがそのプラチナチケットです。

 

富士山

今回の移動は個人ではなくツアーバスで参加させていただきました。バスでの移動は直接演習場まで運んでくれるので自分で車を走らせるより楽でした。バスの車窓からは世界遺産への登録が決定した富士山の姿が近付いてきました。事前の天気予報では「激しい雨に注意」でしたが、良い意味でその予報は外れてくれました。

 

東富士演習場

御殿場市にある東富士演習場の入口に立っている看板です。東富士演習場は本州での最大規模の演習場であり、自衛隊に限らず米軍も訓練に使用しているそうです。周辺は火山灰のため農業には適していないとバスガイドさんが教えてくれました。

 

会場への道

バスの駐車場から演習会場までは徒歩で約20分かかります。これはちょっとした登山ですが迷彩服を着た自衛隊員の方達と歩いていると行軍のようでもありました。自衛隊イベントの招待客となると高齢者の方達が多いのですが、体力的に辛かった方もいたのではないでしょうか。

 

演習会場

チケットの日付を見ていただくとわかりますが、24日(土)は自衛隊員と招待者向けの公開日となっています。会場は前方の平坦な部分にシートをひいた「シート席」と後方にひな壇状に設置された「スタンド席」があります。シート席は装備品を間近に見られるので迫力を感じる事ができ、スタンド席は開けた視界で全体を見渡すことができます。どちらがいいかは一概には言えませんが写真派にとってはスタンド席の方がメリットが多いでしょう。見学にあたっては他のお客さんの迷惑になるので立ち見はもちろん、傘の使用も禁止されていますので雨の際にはコートの準備が必要です。

 

遠距離火力 特科火力

総合火力演習は「前段」の装備品の紹介と「後段」のシナリオ展開の二部構成です。前段には遠距離・中距離・近距離火力やヘリ火力、対空火力、戦車火力に分類して紹介されます。

 

203mm自走りゅう弾砲

トップバッターを飾るのは空自最大の射程距離を持つ203mm自走りゅう弾砲です。自走式のこの砲台は御殿場の演習場から熱海市まで砲弾を飛ばすことができるそうです。弾道計算などはどのようにして狙いを定めるのでしょうかね。

 

99式自走155mmりゅう弾砲

射撃準備の違いを見せるため、敢えて遅れて進入させたという2台の車輌。最初は何を言ってるか理解できませんでしたがやっとわかりました。私は「車輌に砲台が付いている」という考え方をしていましたがそれは間違いで、「砲台に車輌をつけて自走式にした」というのが正しい考え方のようです。

 

99式自走155mmりゅう弾砲

火力演習のルールとして、実弾射撃が可能となった車輌は赤い旗を立てます。一方射撃準備にない車輌は緑の旗を立てることで火器の状態を識別することができます。ちなみにこの155mmりゅう弾砲は伊豆半島の伊東市まで砲弾を飛ばすことができるそうです。

 

155mmりゅう弾砲

こちらは「自走式ではない」155mmりゅう弾砲です。自走式とは全く別物に思えますが、確かにこの砲台を移動して設置するのには準備に時間がかかりそうですから、自走式にしたくなる気持ちがわかります。ちなみに自走式の方は弾薬の充填も自動化されており、運用に携わる人員の数でも大きな違いがありそうです。

 

同時弾着射撃

TOT(Time on Target)と呼ばれる複数の異なる火砲から同時に着弾させる高い技術です。弾着予定時間の20秒前をコールし、逆算して必要なタイミングにそれぞれが射撃を行いますのでタイミングがずれると美しく見えなくなってしまいます。

 

富士山

ほとんどその姿を見せることがなかった富士山ですが、時折その美しいシルエットを覗かせてくれました。富士山の稜線が有ると無いとでは富士火力演習の雰囲気が違ってきますよね。事前の週間天気予報を見た時の絶望感に比べたらとてもラッキーでした。

 

曳火射撃

長距離火力の最後は曳火射撃で締めくくります。これは空中で火薬を爆発させるものですが、富士火力演習らしく、富士山の姿を描き出します。演習といえどもこういう遊び心があるのはとても面白いですが、これを実現するには1/100秒単位の射撃精度が必要だとか…いかにも日本人らしい技術であると感じました。

 

CH-47J チヌーク

中距離火力の展示(写真は割愛しています)の後、会場左手からチヌークが進入してきました。航空機ファンにはここからが本番ですね。内容は習志野演習場で見るものとほぼ同様ですが、演習場の広大さのため風景が桁違いに魅力的です。

 

CH-47J チヌーク

展示は近距離火力の説明中で、チヌークがホバリングする間にロープをつたって隊員が地上へと降りていきます。ヘリが着陸できないような悪条件な場所ではこの方法が向いていますが、ホバリング中のヘリは絶好の標的でしょうからいち早く離脱したいところでしょう。

 

CH-47J チヌーク

再び会場に進入したチヌーク。陸上自衛隊のイベントではスタンド席が設けられるのでちょっとした空撮っぽい写真を撮ることもできます。次回は晴天の下で開催される演習を撮影してみたいと思いました。

 

CH-47J チヌーク

地上にいた隊員をピックアップし、離脱するチヌーク。ちょっと衝撃的なこの吊り下げ方法は決していじめや罰ゲームではなく、地上の敵を警戒しながら必要に応じて発砲できる態勢を維持しているのです。

 

軽装甲車輌

人が持って発射することができる対戦車誘導弾はスピードも速くて見ごたえがありました。打ちっ放しが可能な自動追尾型で発射後はすみやかにその場を離脱することが可能です。

 

対人狙撃銃

俗にいうスナイパーライフルで精密射撃に用いられます。遠くから小さな的を狙うので気象の影響を受けやすく、非常に高い射撃技術が求められます。

 

対人狙撃銃

狙撃は普通は200〜300mの距離で行われるそうですが、今回は500mという長距離で行われました。こういう方はオリンピックのライフル射撃とかに出られるのでしょうかね?

 

射撃目標

今回のターゲットは車の窓から見える人を形どった標的です。左側の窓は狙撃が成功してガラスが割れた後の状態ですが正直これにはビックリしました。やらせで割れる仕掛けが仕組まれているのではないかと疑いたくなります。

 

96式装輪装甲車

10名が乗車できる装甲車です。8つのタイヤで走行するこの車輌は機動性に優れ、縦横無人に駆け巡ります。また放射能汚染地域でも活動できるので、東日本大震災での被災地でも活躍したそうです。

 

96式装輪装甲車

12.7mm重機関銃による射撃の模様です。連射がきく機関銃は弾道を写真に残すことができます。敵を排除した後、装甲車に搭乗していた隊員が後部ハッチを開けて外で出てきます。

 

小銃小隊

ここからは対人戦闘となります。96式装輪装甲車から出てきた戦闘部隊が近接戦闘を行います。

 

84mm無反動砲

無反動砲は目的に応じて弾頭を選ぶことができ、対戦車、対人、発煙、夜間の照明などに使われます。また煙幕は視界を遮る効果があり、敵の行動を制限させたり遅らせたりする効果があります。

 

89式装甲戦闘車

機動性に優れる装甲車は戦車ほどの火力はありませんが、戦場を縦横無人に駆け抜ける活躍を見せてくれます。

 

89式装甲戦闘車

35mm機関砲による射撃。中距離の標的に対して発射していましたが、機動力の高さも相まって多くの局面で便利に使えそうな装備だという印象を持ちました。ちなみに火力演習で使用される弾薬は○○億円とも言われますが、実は使用期限が近づいている弾薬が使われるので無駄遣いにはなりません。うまく考えられているなぁと思いました。

 

AH-64D ロングボウ・アパッチ

お待ちかねのヘリコプター火力展示が始まりました。ヘリコプターは会場左手側でスタンバイしていて出番がくると会場に進入してきます。このような一般公開に時にはAH-1Sコブラではなくアパッチが出てくることが一般的になってきたのかな。

 

AH-64D ロングボウ・アパッチ

アパッチは対戦車ミサイル・ヘルファイアやロケット弾、空対空ミサイル等を装備する、高い攻撃力をもつ戦闘ヘリです。AH-1Sコブラの後継機として期待されましたが、コスト削減と攻撃ヘリの存在意義の見直しなどにより当初の導入予定を大きく下回り、たった13機だけの調達で打ち切られてしまいました。

 

AH-64D ロングボウ・アパッチ

ホバリングしながら30mm機関砲を掃射するアパッチ。弾道は見えませんでしたがダウンウォッシュに押し付けられる排煙と排出される薬莢を見ることできます。掃射はけっこう長い時間行われていましたが、搭載している弾薬の数はかなり多いのだと思いました。

 

AH-64D ロングボウ・アパッチ

カメラのレンズを広角で撮影するとこんな風景になりますが、広い戦場で実際に活動する場合はこんな感じなのでしょう。、戦車にとって攻撃ヘリは天敵ですが、戦場でその姿を見かけたらゾッとすることでしょう。

 

AH-64D ロングボウ・アパッチ

機銃掃射を終えたアパッチは会場正面を横切るようにして離脱していきます。これは展示としての配慮の一環なのでしょう。

 

87式自走高射機関砲

対空レーダーで敵機を捜索し、即座に射撃して航空機を撃墜する高射機関砲。対空装備らしく砲身は高い角度まで上げることができます。こうやって見ると陸自の装備も目的別に細分化されているのだと感じました。弾を敵に当てるというのは思っているよる単純なことではないのかもしれません。

 

87式自走高射機関砲 

射撃の衝撃が強いのか、高射砲は左の丘から2台で計4門による射撃を行いました。対航空機というので上に向けて撃つのかと思いきや、ほぼ水平に向けた射撃でした。これは低空を進入する攻撃機やヘリを想定したものなのでしょうか。

 

74式戦車

戦車火力の展示です。まずは古い型式である74式戦車が左右2班に別れて進入してきました。74というのは1974年に制式化されたことを意味するようで、ということは私が生まれた年とそれほど離れていないことになります。

 

74式戦車

射撃用の陣地を占領する74式戦車。戦車の最新トレンドからみるとデザインの古さは否めませんが、型式を見分ける分にはとてもわかりやすく、いわゆる自分が思い描いてる戦車らしい形をしています。

 

74式戦車

赤い旗を立てて実弾射撃を行うナナヨン。大きな音が響き渡る火力演習ではありますが戦車の大砲は音の大きさ、空気の振動などそれまでの火器とはレベルが違うと感じました。これは花火大会を間近で見た時に近い感覚です。それにしても「ファイア」の炎につつまれる瞬間を撮るのは非常に難しいと痛感しました。狙ってはいたのですが成果はゼロです。

 

74式戦車

74式や10式戦車には油気圧式懸架装置というものがあり、斜面でも姿勢を安定させて射撃を行うことができます。確かに平坦な場所ばかりというわけではないでしょうから射撃を安定させるには必要な装置だと思いました。

 

74式戦車

74式戦車は型式は古いものの、その後開発された後継の90式よりも台数で勝っており事実上陸自の主力戦車となっているようですが、今では退役も進み最新の10式戦車へとその座を譲っています。

 

74式戦車

戦場を離脱する74式戦車。上の写真にもどって連続で見ると気がつきますが、車輌の走行向きにかかわらず砲台は常に敵陣に向けられたままとなっています。つまり砲身は観客側に向けられることはありませんから、こちらに突っ込んでくるような迫力ある写真を撮るのは無理という事になります。

 

74式戦車

会場中央を走る道を突き進む74式戦車。こちらに向かってきてくれたら迫力ある絵になったであろうに…。

 

90式戦車

異なる砲弾を走行しながら射撃するという、高い練度が必要とされる技術を披露した90式。今回参加している3種の戦車の中では最も火力が強く、装甲貫通能力が高いと言われています。

 

90式戦車

90式戦車はコストが高いため、北部方面隊と富士教導団に重点配備されています。世界水準の火力を有し、大きくて堅牢そうな車体をもつキューマルは威風堂々といった雰囲気を持っていました。

 

10式戦車

昨年3月に配備されたばかりの最新鋭戦車で、「ヒトマル」と読みます。写真からは見るからに軽快そうな動きが見てとれますが、これはジグザグに動きながら射撃するヒトマル自慢のスラローム射撃の1シーンで、世界最高レベルの射撃と説明されていました。

 

10式戦車

キャタピラから吐き出される泥が激しい機動を物語っています。軽快な走行をみせながらも砲身はピタリと目標に対してロックオンされていたのが印象的です。強力な火力が自慢の90式とは対極となる設計思想の戦車ですが、配備先が限定された90式とは違い全国的に配備が進んでいるそうです。

 

10式戦車

低重心で薄く、直線的なシルエットはデジタル的な現代感をも感じさせるような気がします。車体サイズは小さいので火力はどうしても犠牲になってしまうようですが、トレーラーや貨物車で輸送できるというメリットに加え、自走時の道路や橋梁への負荷軽減など行動範囲が広がります。またネットワークシステムによるチーム戦闘という概念が盛り込まれた新世代の戦車です。

 

10式戦車

残念ながら第一空挺団による空挺降下は視界不良につき中止となってしまいました。前段演習が終了すると約20分の休憩時間が設けられていますが、当然ながらこの休憩時間には多くの人が動き出しますので身動きするのも不自由に感じるほど混雑します。できることならトイレ待ち行列につかまって後段演習に間に合わないという事がないようにしたいですね。

 

 

スケジュール(パンフレット)

 

 

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