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20160827

陸上自衛隊

富士総合火力演習


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2016年8月27日 富士総合火力演習 前段演習

民間に公開されているイベントとして陸上自衛隊で最も有名であろう富士総合火力演習。今回は前日開催の教育演習チケットをいただく事ができたので見学してきました。ガルパンの影響に加え、本年度は公開が1日少ないそうでチケット争奪戦の倍率は30倍近くにもなっているそうです。応募を続けても30年に1度行ければいいという人気イベントとなっています。今回は人気が高まっている戦車の砲撃炎を撮ることを意識して挑みました。

 

富士総合火力演習チケット

サッカーチームでお世話になっているコーチからオファーがあり、ご子息(高校生)のサッカー試合の撮影をしたところ、そのお礼として富士総合火力演習のチケットを融通していただきました。会社の同僚と一緒に行く予定でしたが、残念ながら体調と仕事の関係で参加できず、一人で参加する事となりました。

 

 

東富士演習場

今回は初めて自力で現地に行かなくてはなりませんでした。よくわからなかったので前日のうちに車で御殿場まで移動し、深夜のうちにタクシーで会場入りしました。4時くらいに到着した頃は星空が美しかったのですが、明け方になると同時に雲が出始めました。タクシードライバーの話では富士山周辺は独特の天候があり雲の動きが読みにくく、演習は雲があっても開催されるが、霧が出ると標的が見えないので中止になるので運次第との事でした。

 

備忘録としてメモしておきます。

・チケットは非売品。違反だがオークションで4000円〜数万円に。

・私有車で来られるのは駐車券付きチケットのみ。駐車場は1日1,500円。

・タクシー送迎は可能だが、私有車は不可。タクシーは御殿場から3,500円程度。

・シャトルバスは御殿場駅から早朝5時半から運行開始。片道570円くらい。

・帰りはタクシー、シャトルバスともに2時間待ちくらいは覚悟が必用。

 

写真派でシート席の場合、4人くらいのグループで終電にて御殿場に着き、深夜のうちにタクシーで会場入りして徹夜で待つと最前列を確保できそうです。私は4時頃到着して2列目でした。

 

 

東富士演習場

深夜の富士山なんてどんな雰囲気なのだろう…と不安を抱いていましたが、思った以上に人が多くて安心しました。ただし照明は一切なく、雨風が強い場合は非常に辛い思いをする事でしょう。8月といえども朝方は冷え込むようで長袖が役に立ちました。

前回はスタンド席でしたが、今回はシート席です。スタンドは招待者向けのA,Bスタンドと一般向けのC〜Eスタンドがあります。一般客はC〜Eスタンド前のシートから好きな場所を選べますが、会場中央に近いCスタンドが最も人気があるようです。

 

 

東富士演習場

入場は6時半から始まります。この頃はかろうじて富士山の頭だけが姿を見せていましたが、すぐに隠れてしまい、終日その威容を現すことはありませんでした。ちなみに当日は24時間テレビでも富士山登山チャレンジが行われていました。

 

 

東富士演習場

Cスタンド前のシート席を後方から。整理整頓を重んじる自衛隊らしく、座る場所もロープで1列に並ばせられますので過度な場所取りを行うことはできません。正直1人あたりのスペースは狭くて席を立つのも一苦労でしたので、エコノミー症候群の恐れも考えられます。立ち見や椅子の使用は禁止で、安全の観点からも傘の使用も認められていませんので雨合羽が必須です。これは空自の航空祭でも採用した方がいいように思いました。

 

スタンド席は緩やかな傾斜があるものの、写真撮影を考えるとどうしても前の人の頭が遮ってしまいます。隙間から狙うとしても3列目くらいが限界のように思います。実際に望遠レンズを構えていたのは3列目くらいまででした。

 

 

10式戦車

演習が始まる前は、ラフなリハーサルや射撃訓練が行われます。シャッターチャンスも多いのでここで撮影に慣れておくことや、実際に絵になる1枚を撮る事もできると思います。戦車の射撃音を聞くのは2回目ですが、その音の大きさと空気の振動には恐怖を感じます。

 

 

偵察隊

バイク隊の3名が何やらアヒルを持っています。この行動は謎をよんでいましたが、画像を拡大してみると「御神酒」と書いてありました。演習を前に成功を祈願しているのでしょう。

 

 

120mm迫撃砲

迫撃砲の事前訓練です。小さな炎を撮影するのは比較的簡単でしたが、いくつか面白い形を写し撮ることができました。あまりに一瞬なので狙って撮れるものではなく運任せですが、シャッターを切るという行為が何より大切です。

 

 

120mm迫撃砲

今回の撮影で一番面白いのが撮れたのがこの1枚かもしれません。まるで不死鳥を思わせるような一瞬の炎と打ち出させる砲弾。そして耳を塞ぐ陸自隊員さんもいいですね。

 

 

TOT「富士山」

TOTとはTime on Targetの略で、「同時弾着射撃」です。観客受けする富士山を形どった射撃をリハーサルで撮れたので、本番で撮り損なっても大丈夫…という保険になります。よく見ると右側3つめあたりの着弾が少し上にずれているようです。

 

 

AH-64D アパッチ・ロングボウ

茂みの影から姿を現した2機のアパッチの迫力がありすぎて、会場も軽い興奮状態に湧きました。

 

 

AH-64D アパッチ・ロングボウ

2機が並んで射撃練習を行いましたが演習に参加するのは1機だけなので、このシーンは早めに入場しないと見られない貴重なチャンスでした。

 

 

グレーダ

演習に必用なので火器や戦車、ヘリだけではありません。会場を整地するために多くの機材が投入されました。ここまで綺麗にする必用があるのか…という気もしましたが、これも訓練と装備品公開の一環と考えることもできますね。

 

 

異物捜索

演習を前に地雷をはじめ、異物が埋もれていないかを捜索しています。手に持っている探知器に加え、右目に装着されているスコープの機能が気になります。

ちなみに今回はドローン対策についても説明がありました。万が一上空にドローンが現れた場合、警報が鳴り続けるので現場の隊員の指示に従うようにとの事でした。

 

音楽隊

演習を前に音楽隊が演奏を行いました。行進して現れた音楽隊は会場右端、中央、左端と場所を変えて演奏を披露しました。演奏曲目は自衛隊らしくマーチが中心でした。

 

 

203mm自走榴弾砲

時刻は10時になり、いよいよ教育演習が開始されました。前段演習は陸自が装備する火器の紹介と、それぞれの特徴を活かした射撃方法を見せてくれます。

 

 

99式自走155mm榴弾砲

トップバッターを務めるのは長距離射撃を任務とする特科部隊の榴弾砲です。

 

 

99式自走155mm榴弾砲

総合火力演習では安全の確保と展示のわかりやすさを両立できる工夫があります。実弾を射撃可能な状態にある火器は赤い旗を掲げます。逆の場合は緑の旗を使います。

 

 

96式装輪装甲車

96式装輪装甲車に榴弾砲を搭載することができるのか?

…と色々調べてみましたが、奥にある203mm榴弾砲の砲身が重なって写ってしまっただけのようです。

 

 

155mm榴弾砲

発射の瞬間に吐き出された煙の先に、射出された弾薬が写っていました。これぞ実弾演習!

 

 

TOT「富士山」

早朝の事前訓練に比べると精度を上げてきている事がわかり興味深かったです。異なる火砲を使い、射程距離を合わせて着弾発させるには1/100秒の精度が求められるそうです。姿を隠してしまった富士山に代わり、見事な富士山の姿を描きました。

 

 

UH-60J ホーク

長距離射撃が終わると、続いて航空輸送が投入されます。

 

 

UH-60J ホーク

ファストロープを伝って隊員が降下を行います。難易度は高いものの迅速に地上に降りる事ができ、ヘリも着陸せずにすく空域を離脱することができます。

 

 

CH-47JA チヌーク

馬力のあるチヌークは機体下に機材を吊るして輸送を行いました。機内に収まらないようなサイズのものを運んだり、機体が接地できないような地形に輸送したりする時にも役立ちます。

 

 

120mm迫撃砲

この射撃をみて驚いたのは弾薬を砲身の射出側から入れる事です。充填手はすぐにかがんで身を守らないと砲撃の影響を受けて大怪我をする可能性があり、見ていてヒヤヒヤする火器でした。

 

 

中距離多目的誘導弾発射装置

広場に展示された誘導弾発射装置。しかし後方への噴射が激しすぎて観客に危険があるとの理由からここでは展示紹介のみ。実弾発射は左右の台から行われました。

 

 

中距離多目的誘導弾発射装置

左の台において発射された誘導弾。多様な事態に対して対応できる便利な装備。3発を短時間で連射することができます。

 

 

指向性散弾

演習は近距離射撃へと移ります。ちょっと見ていて心苦しい気持ちになりますが、多数の弾が扇状に拡散し、敵歩兵を広範囲で攻撃します。

 

 

指向性散弾

離れて配置された計10個の風船がもれなく破裂します。

 

 

軽装甲機動車、01式対戦車誘導弾

軽装甲機動車は機動性に優れ、市街地戦闘で有効に機能します。対戦車弾は低空を低く進むモードと、高度を上げてから落下するダイブモードの2種類の弾道を持ちます。

 

 

対人狙撃銃

遠く離れた敵を密かに狙うスナイパー。狙撃は気象条件に大きく影響される非常に繊細な射撃です。

 

 

対人狙撃銃

ターゲットは車両を運転する人影で命中するとガラスが割れます。通常200〜300mの距離で行うそうですが、本演習では800mmと超高難易度の設定です。

 

 

96式装輪装甲車、12.7mm重機関銃

連続的に発射される赤く光る弾薬。目標に当たると跳ね返えります。

 

 

96式装輪装甲車

装甲車内部には隊員が乗っており、後部ハッチから下車戦闘へと向かいます。

 

 

06式小銃てき弾

対人近接戦闘です。すぐに割れるのかと思いきや、射撃の10秒後に割れるというタイムラグがあります。

 

 

06式小銃てき弾

割れました。

 

 

発煙弾

直接的なダメージではなく、味方の姿を隠したり、敵の攻撃を邪魔したりすること目的として使用します。

 

 

87式自走高射機関砲

左の台には2台の高射機関砲がスタンバイ。敵航空機の攻撃に備えます。愛称はスカイシューター。

 

 

89式装甲戦闘車

10名乗りで35mm機関砲を装備し、連続射撃を得意とします。

 

 

AH-1S コブラ

回転翼機による対戦車ミサイル攻撃です。強力な火力と優れた機動力により装甲車両を主に攻撃します。

 

 

AH-1S コブラ

ミサイル発射の瞬間です。戦場では強力な戦闘力をもつ戦車でも、対戦車ヘリの姿をみた瞬間に震え上がるそうです。

 

 

AH-64D アパッチ・ロングボウ

アパッチの登場です。現代日本において対戦車ヘリの必要性が認められず、予定数を大幅に下回る調達に終わりました。しかし数ではなく「アパッチを持っている」という事が重要であるという考え方もあります。敵はアパッチの出現を想定した作戦を立案する事が求められるからだそうです。

 

 

AH-64D アパッチ・ロングボウ

アパッチの攻撃成果を把握するためにOH-6Dが観測を行います。旧式化しつつある同機はOH-1にその座を譲りつつありますが、今回はOH-6Dのみが活躍していました。

 

 

AH-64D アパッチ・ロングボウ

攻撃ポイントに到着してホバリングに移行します。

 

 

AH-64D アパッチ・ロングボウ

アパッチによる機関銃の射撃です。写真としては排煙と薬莢のみしか見えず派手さという意味では実力の割に地味な印象となります。先に射撃を披露したコブラに比べるとかなり低空から射撃を行っていることが印象的です。

 

 

87式自走高射機関砲

敵航空機を打ち落とすための対空装備です。

 

 

87式自走高射機関砲

今回は低空を飛行する航空機を撃墜するため砲身は水平に近い角度となっていますが、上空を飛行する場合は高射砲らしい上向き角度になることでしょう。

 

 

74式戦車

いよいよ花形である戦車の登場です。左右の道から2台ずつに分かれた小隊が、砲身を敵に向けたまま移動してきます。

 

 

74式戦車

戦車は砲身を横に向けている姿が格好いいですね。2台並べば迫力も2倍です。

 

 

74式戦車

74式戦車による稜線射撃。74式は地形に応じて姿勢を変えることができ安定した圧倒的な火力の射撃を得意とします。稜線射撃は地形を活かして姿を隠し、射撃の際に必用最小限だけ稜線から姿を出して攻撃を仕掛けます。

 

 

74式戦車

陸上自衛隊が装備する3代の戦車の中では最も古いタイプですが、昆虫類を連想させるようなフォルムに見えます。

 

 

90式戦車

重量級の90式戦車が4台並んで進入してきました。

 

 

90式戦車

異なる2種類の弾薬を連続して厚い装甲を貫通させるという、器用な射撃をみせてくれました。

 

 

10式戦車

ネットワーク戦術という新しい概念が導入された10式戦車。最新兵器はハードウェアの開発も重要ながら、ソフトウェアの性能が優劣を決める大きな要素になってきました。

 

 

10式戦車

今回目標にしていたマズル・フラッシュこと砲撃炎の撮影を行う事ができました。この炎は肉眼でも見られるものの、0.1秒で消えてしまうため見えた後にシャッターを切っても時既に遅し。砲撃を予測して高速連写を行わないと撮影することができません。また偶然に写るものでもありません。今回の撮影にあたってはこちらの記事が大変役にたちました。

「陸自総火演、0.1秒にかける人々」

 

 

10式戦車

激しい機動を行いつつ射撃を行う10式戦車の得意技「スラローム射撃」。最新技術により高い機動力を持ちながら、砲身は敵にロックオンし続けることができます。日本の国土に合わせて開発されたため、他の戦車に比べると小型であり火力の低下は否めないそうです。その代わりに鉄道による輸送や、国内全ての橋を渡ることができるなど総合的には運用能力が格段に上がっています。

 

 

空挺降下

最後にCH-47Jから5名の空挺隊員による自由降下が披露されました。しかしCH-47Jの姿は雲の中に隠れて見ることができませんでした。

 

 

空挺降下

習志野第一空挺団による降下をもって前段演習は終了します。この後に15分程度の休憩時間が用意されますがトイレに行ったら戻ってくることは至難の技でしょう。

 

 

 

スケジュール(パンフレット)

 

 

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