2025年1月12日
陸上自衛隊 習志野演習場 令和7年降下訓練始め
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新春恒例の令和7年度降下訓練始めが習志野演習場で一般公開されました。今年はNYJIP25(New Year Jump in Indo Pacific25)の副題を冠して開催されました。文字通り11か国もの軍隊が参加する政治的にも大きな意味をもつ演習となっています。内容については海自機が不参加になり空自のC-2も姿を見せませんでした。天候はかなり気温が低くなる予報だったので前年と比べても大きな混雑はなかったように思います。

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シャトルバス
今年は寒いこともあり早々から待機列に並ぶのは諦め、ゆっくりと無理をしない行動指針をとりました。いざ習志野演習場へ行ってみると持ち物検査はとてもスムースに進みました。いつもは行列になるシャトルバスも比較的人数は少な目。歩いた方が早いという判断もありましたが、今回はせっかくなのでシャトルバスでの移動を楽しむことにしました。
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習志野演習場
最近は足腰も弱くなってきたのでバス移動は正直楽でした!帰りの体力を残す意味でもよい選択でした。見学場所となる習武台は最前列は無理ながら2列目には立てるくらいの混雑度でした。
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CH-47JA チヌーク
降下訓練を開始するにあたって試験降下が行われます。この日の天気は気温が寒く曇ってはいたものの風は強くありませんでした。光線状態もよくないので写真映えは最初から期待はできませんでした。
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第1空挺団
試験降下とはいえ先陣をきるのは団長などの職責の高い方が務めます。さすが精鋭部隊だけあって隊員の士気を高めることにも大切なことでしょう。
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中谷防衛大臣
降下訓練始めでは防衛大臣が視察に参加します。ヘリで現場へ現われて席まで歩いて移動するのが習わしです。個人的な感想ですがことしは1機だけでいつもよりあっさり登場したなという印象でした。
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CH-47JA チヌーク
高々度を飛行するチヌークからの自由落下が行われました。遥か上空でしたが写真を拡大してトリミングしてみると超望遠レンズは飛び降りた人の姿をしっかりと捉えていました。
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第1空挺団
自由落下を行ったジャンパーは足につけられたウエイトに日本国旗と第1空挺団旗を下げてパラシュートを開きました。
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第1空挺団
スポーツでも使われているパラシュートを操作して自由に降下できるタイプ。高い技術が求められる一方で自由度が高いメリットがある作戦範囲も広がることでしょう。
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第1空挺団
日本国旗をたなびかせながらの降下を見ていると自然とカメラを向けてしまいます。できれば米軍でのイベントのように国歌を演奏した方がよいでしょう。
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CH-47JA チヌーク
続いて参加している海外陸軍のジャンパー達がチヌークからのパラシュート降下を行いました。
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第1空挺団
5機のチヌークにより旋回しながら何度か上空を通過し、国別に降下を行いました。会場のアナウンスでは使用しているパラシュートの種類を説明していましたが、日本製の13式空挺傘が多く使われていました。
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第1空挺団
降下中のパラシュートと謎の丸い飛行物体…。これは風向きを測定するために飛ばしている風船みたいなものですが同じ高度で安定して浮かんでいたのが面白いです。
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CH-47JA チヌーク
もしアナウンスがなければ見ているだけではどの国の軍隊が降りているのか全くわからないと思いますが、唯一特徴的な国がありました。それはアメリカ軍です。
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U.S.ARMY
アメリカ陸軍が装備するT-11パラシュートは四角い形をしていて小さなヒマワリみたいな補助傘がついているのが特徴的です。降下速度が低く設定されていて兵士が負傷しにくい設計になっているそうです。
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U.S.ARMY
二つのパラシュートが近づいたところを狙ってシャッターをきりました。やはり複数並んだ方が空白もなくなり構図も安定します。
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U.S.ARMY
地上では広く見える習志野演習場ですが上空からみればとても狭い面積に見えます。海外の間隔では住宅地の中にあるこんな狭い場所に降りるのはクレイジーだそうです。
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CH-47JA チヌーク
状況開始!習志野演習場での降下訓練はじめの名物であるシナリオ形式の 総合演習が始まります。まずは先遣隊がチヌークから飛び降りて陣地への進出を図ります
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第1空挺団
早く高々度にいるうちにパラシュートを開いてしまうと着地までの滞空時間が長くかかるので敵に発見されるリスクが高くなります。できるだけ地面に近い高度まで一気に降りた方が有利なのでしょう。
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第1空挺団
パラシュートで降下してくる隊員を真下から見上げて撮影するのは意外と珍しい機会でした。
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敵偵察車両
シナリオでは敵に占領された陣地を取り返す島嶼防衛を想定して行われました。敵軍は偵察車両を使って陣地を確保しており、ここは空自のF-2が空爆をしかける設定となっていました。もちろんあくまでイメージでありF-2の飛来はありません。
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AH-1S コブラ
奪回作戦を実行するために敵の車両を排除すべく 航空戦力を要請し、対戦ヘリのコブラに出撃命令が下りました。
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AH-1S コブラ
2機のコブラが進入を開始しました。ここは超望遠レンズをつかって圧縮効果を狙いました。
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AH-1S コブラ
習武台から見学している観客の目の前を通過するコブラ。あまりに近いので160-600mmレンズでは機体がフレームからはみ出してしまうほど近いのですが迫力があることは良いことです。
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航空支援
コブラから発射されたロケット弾が敵車両の破壊に成功しました。基本的に陸自の演習シナリオは成功する精度が非常に高い前提で進むことが多いです。
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UH-1J イロコイ
続いて汎用ヘリコプターのUH-1Jが投入されました。側面スライドドアを解放して射撃手が既にスタンバイしています。
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UH-1J イロコイ
実戦に近いような急激な機動で減速し、旋回して向きを変えるUH-1J。地上にいる人々が写ることで急激な機動の説明力が増しています。
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UH-1J イロコイ
地上では報道関係者の姿が見えています。UH-1Jのサイドに立っている兵士は傾いているにもかかわらず何事もないように凄いバランスで立っています。
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近接戦闘
主賓席の前では地上での格闘戦のデモンストレーションが行われました。超望遠レンズを使えば見ることができますが習武台の遠方から肉眼で見るには厳しいでしょう。
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C-130 ハーキュリーズ
地上での陣地確保ができたところで固定翼機からの空挺降下が行われます。会場東側からC-130 戦術輸送機がトレール隊形で進入してきました。
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C-130J/H ハーキュリーズ
今回参加した固定翼機は米空軍のC-130Jが3機、空自のC-130Hが3機という構成でした。ジェット機であるC-2輸送機の参加はありませんでした。
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C-130J ハーキュリーズ
機体胴体が長い米空軍のC-130Jからの空挺降下が始まりました。降下訓練始めは陸自のイベントながら先陣を切るのは米軍機でした。
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C-130J ハーキュリーズ
3番機のC-130Jから降下が始まったところで標準レンズに切り替えました。空挺降下が三層になったところで撮影すると写真内の密度が増して見えるので効果的です。
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C-130H ハーキュリーズ
航空自衛隊のC-130Hから降りる空挺隊員たち。後部ハッチではなく左右両方のサイドドアから間髪入れずにジャンプします。
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C-130H ハーキュリーズ
空自の平坦な基地とは違って習志野演習場では習武台と呼ばれる盛り土から演習を見下ろすことができます。まるで野球スタジアムで見ているような効果があり習志野演習場ならではの楽しみ方ができます。
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C-130H ハーキュリーズ
サイドドアからジャンプする隊員をクローズアップ。以前に使用されていたパラシュートから改良されていて、万が一接触した場合にも絡みにくくなっていて安全性が増しています。そのおかげで飛び出す間隔が短くできたとの事です。
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第1空挺団
次々と地上に降り立つ第1空挺団隊員。空挺降下が話題になることが多いですが、あくまで手段であり降下は目的ではありません。地上に降りてからが彼らの本領発揮となります。
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AH-1S コブラ
航空支援のため再びAH-1Sコプラが奪回作戦を上空から支援します。コブラは空自航空祭でもよく見られますがやはり陸自のフィールでみる方が魅力的です。
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UH-1J イロコイ
固定武装を持たない汎用ヘリのUH-1ですが習志野演習場で見る同機は実に格好良いです。
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UH-1J イロコイ
一般客が入る習武台は二段階になっていて、近くで見ることができるが低い1段目と、後方ながら高い位置から見ることができる2段目があります。私はいつも2段目から見ていることが多いです。
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UH-1J イロコイ
ホバリングしながら機銃掃射を行うUH-1J。機銃から生じる煙幕が冷たい空気に揺られされて可視化されました。
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CH-47JA チヌーク
作戦進行は輸送フェーズに移行します。陸自の主力輸送ヘリCH-47JAが進入し増援のための隊員を運んできます。
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CH-47JA チヌーク
開かれた後部ハッチからは外の様子を確認する隊員の姿が見えました。実はさらに拡大してみるとこちらにむかってポーズをとっていたこともわかりました。精鋭たちは意外とユーモアがありますね。
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CH-47JA チヌーク
コブラとUH-1Jに援護される中、チヌークからファストロープを伝って隊員が地上へと降り立ちました。ヘリが着陸できないような不整地であってもロープを使って素早く降りることができます。
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地上戦
地面に伏せながら低い姿勢での射撃姿勢をとる第一空挺団隊員たち。しかし敵陣地からは車両が進出してきます、これはピンチ!
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AH-1S コブラ
地面に伏せる横一列の隊員を支援すべくコブラが進出し上空から援護射撃を行ないます。
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CH-47JA チヌーク
チヌークは大型のヘリですが本気を出すと軽快な機動飛行を見せてくれます。これが展示飛行ならわかるのですが実際に機内には隊員が搭乗していると思うとこれはすごく大変なことだと思います。
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CH-47JA チヌーク
腕の力だけでロープを伝って降りる方法は見た目以上に高い体力と技術が求められる難易度の高い降下方法です。
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CH-47JA チヌーク
今年は珍しく会場奥側から手前側に向かってくる進入経路が見られました。
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CH-47JA チヌーク
指揮車両と榴弾砲を機体外に吊り下げて輸送する方法です。チヌークは地上に設置せずロープを切り離すだけで済むので時間にもなります。
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CH-47JA チヌーク
大型ヘリとはいえ車両を機内に入れるのはかなりギリギリの大きさです。機内に入れると接地した上でハッチを空けて自力走行で出さないといけないのでロープを離すだけで離脱できるのは合理的です。
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榴弾砲
後方からの榴弾砲による攻撃準備を進める第1空挺団。シンプルながら比較的後方から打撃を与えることができる陸上戦力として重宝されています。
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UH-1J イロコイ
UH-1Jとチヌークの組み合わせ。できるだけ機体が重なるところを狙ってタイミングを合わせます。軽い連写には頼りますが余計な撮影データは増やしたくありません。
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UH-1J イロコイ
陸自のヘリは習志野や木更津のイベントで見ている時の方が生き生きとして写りますよね。
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CH-47JA チヌーク
前傾姿勢をとる姿が格好いいチヌーク。コックピットのガラスに光線があたりキラリと光った瞬間がなお良いです。
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CH-47JA チヌーク
樹の陰に身を隠すように任務を遂行するチヌーク。激しいダウンウォッシュにより巻き上げられた芝生は習武台の観客の方まで飛んできました。
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第1空挺団
戦闘が進むにつれて敵の抵抗も激しくなってきます。
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第1空挺団
演習では爆薬を使った演出も行われます。冬は乾燥しているので草木に引火することもあり過去には実際に燃えたこともありました。細心の注意が必要です。
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CH-47JA チヌーク
今年の演習では負傷者の発生も想定に組み込まれていて、以前よりもリアリティが増していました。
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CH-47JA チヌーク
負傷者は担架で運ばれるのではなく地面を引きずられて移動します。可哀想な気もしますが戦場ではこれが最善の運び方なのかもしれません。想像を絶するすごい世界です。
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第1空挺団
敵軍の攻撃車両が進出してきました。さすがにこれは分が悪いようですが撤退する決断は行われていません。ここは死守する構え。
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16式機動戦闘車
自衛隊側も攻撃車両を投入しました。これは戦車ではなく8輪の大きなタイヤを装備した機動戦闘車で現在の主力装備になりつつあります。
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軽装甲機動車
この車両は従来の移動に比べると防御力が高く、かつ軽量であることから島嶼防衛など遠隔地への展開能力が向上したそうです。
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16式機動戦闘車
高速道路を100km/hのスピードで走行できる機動戦闘車は日本国内の現実的な移動について考えられている装備です。市街地での戦闘を得意としますが芝生の上でも軽快な走行ができることがわかります。
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10式戦車
戦車も投入されていました。10式戦車は 小型の為、火力ではやや劣ると言われていますがネットワーク戦闘を得意としておりハイテク戦闘で補います。また小型であるがゆえに日本中の橋を渡ることができると言われており国内の広範囲に展開できるのが強みです。
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10式戦車
激しい土埃が起きたため、奥にいるはずの車両はほとんど見えなくなってしまいました。実際には戦車が2両並んでいます。
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AH-1S コブラ
航空支援任務を終えたコブラは素早く戦場を離脱します。敵戦車にとっては天敵とも言われる強力な兵器ですが、空中にいるため目立ちやすくターゲットにされるリスクも高いので長居は無用です。
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第1空挺団
機動戦闘車も加わり自衛隊が攻撃に転じます。準備が整ったところで一斉に 攻撃を開始し決着をつけにいきます。
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C-130J ハーキュリーズ
地上戦が終了すると再び固定翼機のC-130が進入してきました。前半の降下は6機でしたが 今回は4機まで機数を減らしています。
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C-130J ハーキュリーズ
空挺隊員が次々と地上へと降り立ちます。曇り空でパラシュートが映えなかったのが少し残念でした。
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C-130J ハーキュリーズ
さすが世界最大の米軍だけあってC-130は胴体を延長したJ型へアップデートされています。
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C-130H ハーキュリーズ
一方でとても物持ちの良い自衛隊は導入したC-130を長年丁寧に使用しています。最新の米軍機と比べると胴体の短さがよくわかります。
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U.S.ARMY
ここ最近のシナリオは島嶼防衛を想定したものになっていますが、米軍との共同訓練が当たり前のものになりました。意思疎通を図っておくことは重要ですし、国外へのアピールとしても大きな意味があります。
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U.S.ARMY
降下中のパラシュートと空域を離脱して旋回するC-130が重なる画を狙いたくなるのはきっと当然のことでしょう。
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U.S.ARMY
かなり大きくく見えたC-130とパラシュートが一緒に重なってくれました。天気がはれていればクリアでシャープに撮れていたかもしれず残念でした。
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U.S.ARMY
C-130は旋回を続けてさらにもう一度進入を行います。習志野演習場は狭いので一気に降下させることができないようで2回に分けて降ろすようです。
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C-130 ハーキュリーズ
4機の C-130が再び降下進入コースから入ってきました。
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C-130J ハーキュリーズ
米空軍のC-130から降りるジャンパーたち。降下訓練始めに参加する海外の軍隊組織は年を追うごとに増えていきます。
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U.S.ARMY
最後の方はシナリオには関係なく降下して地上に降りることが目的のようで 地上では和気あいあいとした雰囲気が漂っていました。
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CH-47JA チヌーク
演習シナリオも終わったと思いカメラ機材を片付けて帰ろうとした矢先、チヌークが編隊を組んで進入してきました。陸自恒例のパレードフライトかと思いましたがいつもとは少し様子が違ったので急いでリュックからカメラを取り出して
レンズを向けました。
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CH-47JA チヌーク
いつものパレードで見るようなV字編隊ではなく、5機のチヌークが重なって見えました。このような入り方は初めて見ました。
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CH-47JA チヌーク
各機の重なり具合は揃い過ぎでもなく、とてもいい感じにばらけているところも浮遊感があってよかったです。
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CH-47JA チヌーク
600mm焦点距離をもつ超望遠レンズの圧縮効果により密度が増して見える効果が得られました。
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CH-47JA チヌーク
実際に近づいてくると縦列隊形であることがわかります。これだけ密度感があるチヌークの編隊飛行を初めて撮ることができましたが、撮っている間はファインダー覗きながら興奮してしまいました。
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CH-47JA チヌーク
上の写真を縦構図で切り取った1枚です。機材を片付けて帰ろうとした矢先に訪れたこの日最高のシャッターチャンス!今回お気に入りの一枚です。
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CH-47JA チヌーク
実は撮影をしていたこの時点では、このフライトの意味は理解しておらず最後のパレードフライトと思っていました。
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CH-47JA チヌーク
習武台で見学している観客の頭上を通過して行くチヌーク。この動きは動画で見たいところです。
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CH-47JA チヌーク
5機のチヌークが地上に横並びに降りたち後部ドアから兵士を降ろしました。この5機が並んで重なって見えるベストポジションにいた人はラッキーです。
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U.S.ARMY
チヌークからは今回参加した海外軍隊の兵士が降りてきて国旗を掲げながら駆ける姿が見られました。
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CH-47JA チヌーク
今回参加したのはアメリカ、イギリス、フランス、、ドイツ、カナダ、オランダの6カ国に加え、初参加となるイタリア、ポーランド、フィリピン、シンガポールの4カ国の部隊が加わりました。
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CH-47JA チヌーク
習志野の降下訓練始めは年を追うごとに参加国が増えていき、政治的にも重要なイベントになっています。いま戦える自衛隊、これからも戦える自衛隊を目指すと言っていたのが印象的でした。この言葉の意味として自衛隊が抱えている課題も感じることができました。また同時にこのアジア地域が不安定要素である緊張感も増しており、どうか有事が発生しないようにと祈るばかりです。
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スケジュール(パンフレット)
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